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世界で一人だけの君へ
第7章  高校球児
坂井はキャッチャーのサインに何度か首を振ってから頷き振りかぶって投げた。

少し甘めに入ったストレート
打者は逃さずバットを振った。


カキーーーーーン


小気味よい音が響きボールは高く舞い上がる。
坂井はボールの行方を追っていた。
オオッと場内が沸き上がって、そのボールはスタンドに吸い込まれた。


ウオオオオオッッッッ

試合を見守っていた会場から大歓声が上がる。
応援団は声を張り上げ、ブラスバンドは打者を讃える応援歌を高らかに演奏する。

打者は右手の拳を高くあげながらはち切れんばかりの笑顔でベースを踏んでいく。


その瞬間、坂井は自嘲気味に笑うとまた肘を撫でた。

戻ってきた選手をベンチから飛び出した仲間が迎える。

勢いづいた大阪学院は応援の声も勢いを増して次の打者を送り出した。


坂井の顔つきが変わる。

厳しいインコース攻めで3球三振


『試合終了』

サイレンが鳴り響く。

大阪学院は喜びを露にベンチから飛び出してくる。


坂井はマウンドから熱い暑い夏の空を見上げていた。






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