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世界で一人だけの君へ
第7章  高校球児
「賢夢!
 もうすぐ夏休みも終わるのよ。
 いつまでもだらだらしてないで塾に行きなさい」

階下から呼び掛ける母の声。

学校への報告会やら準優勝祝賀会、マスコミの取材なども終わり落ち着いたときにはもう夏休みも終わりに差し掛かっていた。

甲子園の余韻を味わうまもなく、受験生という現実を突きつけられる。
学校にも両親にも野球はこれ以上続けないことは伝えていた。

だったら勉強しろ!
至極当然な答えが返ってきた。

ただ塾に行こうにも家の前にはいまだ人だかり。
外出もままならない。

そして...
自宅の電話には連日プロ野球や大学野球部からの誘いの電話。
受け答える母に向かって俺は首を振っていた。


「ただいまぁ。
 今日もスゲーな賢夢。
 はい、これお前のファンの女の子から。
 渡してくれって」

大学生の兄が帰ってきて両手に持った紙袋を俺に渡す。

いくつか兄の手に残った紙袋を見て

「あ、これは俺の」

嬉しそうに笑った兄貴の横で彼女がムッとした顔をしている。兄貴は俺が見てもイケメンだと思う。今までに何度も芸能スカウトを受けている。
甲子園のテレビ中継を見て俺のファンになったという女の子が俺の自宅に来て、兄貴を見てあっさり鞍替えをする子もいるくらいだ。

「そんなに怒るなよ」

彼女の肩を抱いて頭にキスをする兄貴。
そんな姿も絵になっていて...俺が彼女だったら絶対安心できない。
しかも兄貴はよく彼女を変える。モテるのを良いことにやりたい放題。
そのうち絶対にバチが当たる。

兄貴と彼女が2階の部屋に消える。
しばらく部屋には戻れないな...
兄貴が彼女と帰ってきてやることはひとつ。
ったく実家だってのにお構いなしだもんな...

リビングでテレビをつけると母親から勉強しろと言われ追い出される。

俺は大きく溜め息をつく。
もう少し世間で騒がれているこの素晴らしいピッチャーを大事にしてくれるって気持ちはないのかね、この家族には...

仕方なく部屋に戻りヘッドフォンをして英語のリスニング...なんて健全な高校生には無理で、隣の部屋から聞こえる遠慮のない喘ぎ声に俺の右手はいつの間にかペンを息子に持ち変えていた。


夕方、日も傾き始めた頃俺はやっと外に出ることができる。

「ちょっと出てくる」

向かうのは自宅近くの河原。

沈む夕日を毎日眺めていた。




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