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世界で一人だけの君へ
第9章 アイドルの道
樹村くんはそんな俺を見てから
『なんでこの世界にはいった?』
僕は誰にも言ったことのない本当の理由を話し出した。
『...実は会いたい人がいるんです。
会ってお礼を言わなければならない人が。
僕はその人のお陰で甲子園に出られるピッチャーになれた。甲子園で活躍すればもしかして会いに来てくれるんじゃないかと思って毎年頑張って出場したんですが...
野球に興味がなかったのかもしれない』
僕はフフっと自嘲ぎみに笑った。
そして真面目になって
『もっと有名になればもしかしたら会えるんじゃないかって...』
樹村くんはじっと俺を見ている。
『なんかセンチな話だな』
『まあ...最初はいろんなことが聞きたいだけだったんですけど、会えないもどかしさと時間のせいで勝手に片想いみたいになってしまって...
彼女の顔もわからないのに』
俺はプラスチックのコップに入った水を見つめた。
『彼女ってことは、女か...』
田村くんの顔が一瞬歪んだ気がした。
店を出て車に乗り込む。
『家どこ?』
『横浜です』
『方向一緒で良かったわ』
樹村くんは車を発進させた。
『なあ、何でプロ野球行かなかった?
その力はあっただろうに』
真っ直ぐ前を見つめて俺に問いかける。
『あー...
樹村さんは不思議な力って信じます?』
僕は敢えて正面をむいたまま言葉を発する。
『不思議な力?
...信じてるよ』
少し間をおいて言葉を紡ぐ樹村くんは何かを思い出しているようでもあった。
『実は、僕は本当は野球の才能なんて無いんです。
野球は好きで小学生から続けてました。
将来は野球選手になりたいなんて淡い夢を見ながら。
そして高校1年のある日...』
僕はあの時の話しを樹村くんにしていた。
今まで誰にも話したことのない摩訶不思議な話を。
『彼女が星蘭の学生だったのはわかってるんです
制服を着てたから。
なのに誰なのかわからない。
ああゆう事件ですから敢えて名乗らなかったのかもしれない。
だからそれっきり。
僕は真実も聞けず、お礼も言えず
宙ぶらりんなんです』
俺は小さくため息をついた。
『なんでこの世界にはいった?』
僕は誰にも言ったことのない本当の理由を話し出した。
『...実は会いたい人がいるんです。
会ってお礼を言わなければならない人が。
僕はその人のお陰で甲子園に出られるピッチャーになれた。甲子園で活躍すればもしかして会いに来てくれるんじゃないかと思って毎年頑張って出場したんですが...
野球に興味がなかったのかもしれない』
僕はフフっと自嘲ぎみに笑った。
そして真面目になって
『もっと有名になればもしかしたら会えるんじゃないかって...』
樹村くんはじっと俺を見ている。
『なんかセンチな話だな』
『まあ...最初はいろんなことが聞きたいだけだったんですけど、会えないもどかしさと時間のせいで勝手に片想いみたいになってしまって...
彼女の顔もわからないのに』
俺はプラスチックのコップに入った水を見つめた。
『彼女ってことは、女か...』
田村くんの顔が一瞬歪んだ気がした。
店を出て車に乗り込む。
『家どこ?』
『横浜です』
『方向一緒で良かったわ』
樹村くんは車を発進させた。
『なあ、何でプロ野球行かなかった?
その力はあっただろうに』
真っ直ぐ前を見つめて俺に問いかける。
『あー...
樹村さんは不思議な力って信じます?』
僕は敢えて正面をむいたまま言葉を発する。
『不思議な力?
...信じてるよ』
少し間をおいて言葉を紡ぐ樹村くんは何かを思い出しているようでもあった。
『実は、僕は本当は野球の才能なんて無いんです。
野球は好きで小学生から続けてました。
将来は野球選手になりたいなんて淡い夢を見ながら。
そして高校1年のある日...』
僕はあの時の話しを樹村くんにしていた。
今まで誰にも話したことのない摩訶不思議な話を。
『彼女が星蘭の学生だったのはわかってるんです
制服を着てたから。
なのに誰なのかわからない。
ああゆう事件ですから敢えて名乗らなかったのかもしれない。
だからそれっきり。
僕は真実も聞けず、お礼も言えず
宙ぶらりんなんです』
俺は小さくため息をついた。