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世界で一人だけの君へ
第9章 アイドルの道
『そっか...』
樹村くんの返事は一言だった。
『だからプロ野球へ行かなかったのではなく
行けなかった...
俺の魔法が解けたらただの野球少年に戻ってしまう気がして...』
俺は溜め息とともに呟いた。
『魔法...ね』
田村くんがフッと笑みをもらす。
『確信がある訳じゃないけど
その魔法解けないよ。
君に力があるからそれに呼応しただけだと思うよ』
『どういう意味ですか?』
僕は田村くんの横顔を見ながら聞き返す。
一瞬僕の方を見た田村くんは
『だから、確信はない』
そう言ってまた前を見た。
『もう、野球に未練はないのか?』
『はい。
その話とは別で甲子園に3度出場したらやりきった気持ちの方が大きくなってしまったのも事実です』
『なら、本気でアイドルやれよ。
お前には既に売りがあるからな
なんでJYOさんがしつこくお前を誘ったかわかるよ』
田村くんの目は真剣だった。