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世界で一人だけの君へ
第10章  出逢い
彼女と画集の作者や画集の話、僕の買った建築のデザイナーの話などでかなり意気投合した。僕が何となくイメージでする話を彼女はちゃんと理解してくれる。

こんな人に会ったのは初めてだ。

芸術的な話を照れもなく真面目にしたのも初めてだ。

僕は嬉しかった。

感覚を共有できる人と初めて出会えた。


嬉しすぎていつになく饒舌になる。

彼女は飽きもせず僕の話に穏やかな微笑みで相槌を打ってくれた。

もっと話したい。
もっと一緒にいたい。

ジンジャーエールで酔いのまわったおれは彼女の笑顔に引き込まれる。


ーーヤバイ キスしたくなってきた...

彼女の顔との距離を縮めようとしたとき


店のドアが開いて


「よう!」

と樹村くんが入ってきた。

ーーいま、ですか。
  樹村さん...


「待たせたな。坂井」

「いえ」

僕は席を立って樹村くんを迎えた。


「喉乾いちゃった。
 スクリュードライバーちょうだい」

樹村くんがバーテンに声をかける。


僕の隣に腰を下ろした樹村くんは

僕の隣の女性を覗きこむ。


「お待たせ、璃子ちゃん」


その笑顔!

セクシーじゃないですか?!
優しすぎじゃないですか?!


「お待ちしてました」

と微笑む彼女の笑顔も

嬉しそうじゃないですか?
今までの笑顔となんか違いますよ?!


え?!

二人はどんな関係?

彼女の待ち人は樹村くん?!



なんかスゲーショック


叶わねーじゃん...





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