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世界で一人だけの君へ
第10章  出逢い
「あの...

 彼女はその...樹村くんの彼女、ですか?」


僕は思いきって疑問を投げる。


樹村くんは一瞬怪訝な顔をたけれど
彼女を優しい目で見つめたあと

俺をみた。


「だとしたら?」


やっぱり...そうか。

なんだ、そうか。

一気に落ちていく...


「今の話に彼女とのこと関係あるの?」


「あ、いえ...」


樹村くんは真剣な顔で俺を見た。


「あのさ、俺達が相当お前に気を使ってんのわかる?」

「気を使ってる?」

意味がわからず首を捻る。

「そうだよ。ライブのときだってお前のことスゲー押したし、事務所からもお前を試してくれって言われたし」


「俺を、試す?」


ライブのときって遊ばれてると思ってた...


「お前な、自分の売りに気付かなすぎ」

「俺の、売り?
 そう言われても、アイドルなんて自分の人生の選択肢になかったですから...」


樹村くんが鋭い目を向ける


「で?今はどうよ」




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