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世界で一人だけの君へ
第10章 出逢い
僕は彼女の記憶に残らなかったことに
物凄く落ち込んでいた。
もう撮影どころではなくて
正直僕の役なんてあってもなくてもいいわけで
もう帰りたい気分だった。
「坂井くんスタンバイお願いします」
ADさんの声に我にかえる。
ーーもうこれで終わりにしよう。
もともと芸能界に興味があった訳じゃない
普通に大学で学んで建築家になる夢を進もう
たった一人の女性の記憶にも残らない俺が
アイドルになったところで
生き残れるとは思えない...
ADさんに促されるまま立ち位置へと向かう。
僕の少し前には一宮くんと彼女役の女優さんが仲良く談笑しているのが見えた。
「スターート!」
監督の合図がかかる。
俺は小走りで前の二人に近付き
『あれ!達哉?!
新しい彼女?!』
とちょっとからかって去っていく。
だけ、なのに...
声が出なかった...
「カッッッーート!!」
「おい!新人!何やってるんだ!!!」
監督の激怒の声
「...すみません」
俺は唇を噛んだ。
俺ごときで撮影を止めるわけにはいかない。
一宮くんが大丈夫だと優しく声をかけてくれた。
「もう一回」
監督の声に立ち位置へと戻る。
ところが何度やっても上手くいかない...
俺は情けなさといたたまれなさで
ここから逃げたくなった。
物凄く落ち込んでいた。
もう撮影どころではなくて
正直僕の役なんてあってもなくてもいいわけで
もう帰りたい気分だった。
「坂井くんスタンバイお願いします」
ADさんの声に我にかえる。
ーーもうこれで終わりにしよう。
もともと芸能界に興味があった訳じゃない
普通に大学で学んで建築家になる夢を進もう
たった一人の女性の記憶にも残らない俺が
アイドルになったところで
生き残れるとは思えない...
ADさんに促されるまま立ち位置へと向かう。
僕の少し前には一宮くんと彼女役の女優さんが仲良く談笑しているのが見えた。
「スターート!」
監督の合図がかかる。
俺は小走りで前の二人に近付き
『あれ!達哉?!
新しい彼女?!』
とちょっとからかって去っていく。
だけ、なのに...
声が出なかった...
「カッッッーート!!」
「おい!新人!何やってるんだ!!!」
監督の激怒の声
「...すみません」
俺は唇を噛んだ。
俺ごときで撮影を止めるわけにはいかない。
一宮くんが大丈夫だと優しく声をかけてくれた。
「もう一回」
監督の声に立ち位置へと戻る。
ところが何度やっても上手くいかない...
俺は情けなさといたたまれなさで
ここから逃げたくなった。