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世界で一人だけの君へ
第11章 槙 璃子の力
お弁当をもらって部屋に戻る。
扉を開けると拳さんは畳の上でゴロリと横になり虚ろな瞳を泳がせていた。
「拳さん、先に食事されますか?」
「あとでいい」
「わかりました」
私は拳さんの横に座った。
「情けないな。
俳優なのに自分の感情もコントロール出来ないなんて...」
小さな声で呟く。
「仕方ないです。人間ですから」
「槇ちゃんの力を借りるとは思ってなかったよ」
首を動かし私を見つめる。
「監督はわかっていましたよ。
だから私が呼ばれた。
無理しなくてもいい。
でも、乗り越えてほしいからあえて拳さんにとって辛い役をお願いしたといってました」
拳さんの目に涙が滲んだ。
「拳さん、これから行うことは絶対に他人に話さないでください。
興味本意の方にはまったく反応しませんからそれがもとで変な噂がたってしまいます。
これだけは絶対に約束してください」
私は真剣な目で拳さんを見つめた。
拳さんも体を起こし、私を強く見つめ頷いた。
「これから何が起こるかは正直私にもわかりません。
それは拳さんと息子さんとの関係や思いがどうなっているかによります」
拳さんは深く頷く。
「もし私の体力が限界になった場合は医務室で休みます。
医務室の方には最近寝不足だからあとで少し休ませてくださいと言ってきました。
拳さんの撮影が終わっても目覚めなければこの病院へ連れていってください。
長年診て頂いている医師ですから
私の状況はわかるはずです」
そういって病院のメモを手渡した。
黙ってメモを見つめていた拳さんは
「そんなに槇ちゃんに負担をかけることなのか?」
と心配そうに聞いてきた。
「先程もいった通り、私にも何が起こるかはわかりません。
ですから最悪の場合の対処法を伝えています」
「そうか...」
と小さく頷いた。
扉を開けると拳さんは畳の上でゴロリと横になり虚ろな瞳を泳がせていた。
「拳さん、先に食事されますか?」
「あとでいい」
「わかりました」
私は拳さんの横に座った。
「情けないな。
俳優なのに自分の感情もコントロール出来ないなんて...」
小さな声で呟く。
「仕方ないです。人間ですから」
「槇ちゃんの力を借りるとは思ってなかったよ」
首を動かし私を見つめる。
「監督はわかっていましたよ。
だから私が呼ばれた。
無理しなくてもいい。
でも、乗り越えてほしいからあえて拳さんにとって辛い役をお願いしたといってました」
拳さんの目に涙が滲んだ。
「拳さん、これから行うことは絶対に他人に話さないでください。
興味本意の方にはまったく反応しませんからそれがもとで変な噂がたってしまいます。
これだけは絶対に約束してください」
私は真剣な目で拳さんを見つめた。
拳さんも体を起こし、私を強く見つめ頷いた。
「これから何が起こるかは正直私にもわかりません。
それは拳さんと息子さんとの関係や思いがどうなっているかによります」
拳さんは深く頷く。
「もし私の体力が限界になった場合は医務室で休みます。
医務室の方には最近寝不足だからあとで少し休ませてくださいと言ってきました。
拳さんの撮影が終わっても目覚めなければこの病院へ連れていってください。
長年診て頂いている医師ですから
私の状況はわかるはずです」
そういって病院のメモを手渡した。
黙ってメモを見つめていた拳さんは
「そんなに槇ちゃんに負担をかけることなのか?」
と心配そうに聞いてきた。
「先程もいった通り、私にも何が起こるかはわかりません。
ですから最悪の場合の対処法を伝えています」
「そうか...」
と小さく頷いた。