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女鑑~おんなかがみ~
第8章 平穏
「どうしても厭だったら、このまま今日はうちの店の旨い菓子だけ一緒に食おうか。
あの怖そうな女将さんには、ちゃんと水揚げをしたって言っておいてやるから」といたずらっぽく笑うのにつられて夕顔も笑い、
「そうではなくて、死んだ爺ちゃんを思い出してしまって、子どものとき、爺ちゃんと同じ布団で寝てたから」と言うとご隠居は
「そうか、そうか」と相好を崩し、「じゃあ、もうちょっと続きしようか」と言って、足を開かせた。

老人とは思えないほど滑らかな指先によって、奥にあった花弁が一枚ずつ広げられていく。
早くから男女の行為について大まかには知っていた夕顔も、このような甘美な感覚があるということは知らなかった。
「気持ちええか。ワシは自慢じゃないが、指先は器用やからなあ。菓子作りは引退してしもたから、こっちで発揮させてもらおうか」
身体の奥からどろりとした蜜が流れ続け、夕顔は恥ずかしさに足を閉じようと何度も試みた。
「せっかくやから、いい気持ちになったほうがいい。仕事やというても、嫌々するのでは楽しいことあらへんやろ」
と言って、今度は顔を足の間に埋めてきた。
「え、そんなところ、汚いです。」
と言うのに
「こんな可愛い子のここは、うちの菓子より旨いんや」
と言いながら、舌で花芯を探り当てた。
夕顔は、腰のなかで何か別の生き物が動いているような強い感覚に耐えられず、思わず腰を浮かそうとしたが、ご隠居はその腰を押さえ、
「今は動かんと待ったほうが、良くなるから辛抱し」と言い、夕顔も、言われるままに辛抱するうちに、自分の奥にある小さな突起から甘く熱いものが全身に広がってくるように感じた。
そして、一瞬、世界が真っ白な光となり、夕顔は身体をのけぞらせた。
蜜が流れる入り口がひくひくと拍動し、こんなところに心臓がもう一つできたように思えた。

「そうか、逝ったか。いいものじゃろう」
しばらくは息が上がって声も出せなかったがようやく落ち着いたところで、
「はい、これ、わからないけれど凄いです。、周りがわからなくなって怖かったけど、今は、気持ちがいいです」
と感覚を伝えた。
「こんなに喜んでもらえたのなら何よりじゃ。お前はいい子じゃなあ」
「ありがとうございます。じゃあ、私も……」
夕顔は、ご隠居のものを口に含んだ。
一瞬、孝秀様に怒られた記憶が蘇ったが、気を取り直してゆっくりと舌を動かした。
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