この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
女鑑~おんなかがみ~
第11章 嗜虐
そこへ級友の雅夫がやってきた。
「おや,若槻君,君は舞妓さんが好きなのかい。勝手に声をかけたりしたら叱られるよ。
あそこに見えるのは,たぶん,みやこ呉服さんのご一行のようだね。
おや,あの白地に紫の着物をきた舞妓さん,ずいぶんと小さい人のように見えるけれど,おふくに結っているということはもう旦那がいるようだね。」
「ど,どうしてそんなことがわかるんだ」
「ほら,荷物持ちの小僧さんたちがお仕着せの法被を着ているだろう。あれはみやこ呉服の紋入りじゃないか。」
雅夫はこともなげに答える。
「そうじゃなくて・・・。旦那がいるって,どういうこと」
「それはね・・・あとで先生のいないところで教えてあげるよ。いひひ。
舞妓さんはね,最初は割れしのぶという結い方を・・そうそう,あの横にいる黄緑の着物を着た舞妓さんがそれだね。それから,旦那をもつようになったらおふくに変えるんだよ。よく見ると髪型が違うだろう。
ずいぶん小さい人だけれどね。僕たちより,ちょっと年上くらいかな。そういえば,僕の従兄の良助にいちゃんが教えてくれた話では,みやこ呉服の旦那さんは,とても助平で,若い舞妓が好きなんだって。兄ちゃんは京都で板前見習いだからさ,旦那衆も花街の人も来る料亭で料理を作るだろう,だからいろいろな事情に詳しいんだ。」と言った。
そのあとで,若槻は雅夫からいろいろな話を聞いた。
舞妓にとって旦那というのがどういうものなのかをあらかた知ったときは衝撃であったが,それは聞く前からある程度予想がついていることだった。
それより貴重な情報は,
「そういえばあの大旦那さんはね,酒を飲んだ後は,一人で川沿いをふらふらと散歩する習慣があるんだよ。
あまり表立って会えないような人とは,川沿いを歩きながら打ち合わせたりするんだって。でも,歳も歳だから危険だという人もいるようだけれどね。
良助にいちゃんたち板前さんも,冗談で,川沿いで待ち伏せて強盗をしてやろうかと言っているようだよ。」
というものだった。
良いことを聞いたと思った。

若槻はその後,頻繁に京都へ行くための口実を作った。
京都にあった剣道の道場に入門し,月に数回はそこに通うことにした。
夜には川沿いで待ち伏せることを続けたが空振りが続いた。
/185ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ