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Sugar Box
第11章 愛を知らないヒメ初め* 上 *
「そうですね。相変わらず広いですね。」
「本当にな。平日は、ごった返してうるさいのなんの。玲ちゃんの所は、静かで良さそうだよな。」
「人の多くない学校を選んだので。」
「そうなんだ。」
「人付き合いは、苦手です。」
「そっかそっか。それなのに俺とは、こうやって逢って話してくれるって・・・自惚れちゃうぞ。な~んて・・・・・・玲?」
「ご自由に。」
距離をつめてくる彼に嫌悪はない。しかし内側に入れる気はない。人懐っこい彼が眩しく映る。
「玲、ちゃん・・・って、呼ばれるのいや?だったら、〝月瀬〟って呼ぶけど・・・」
「いいえ、嫌じゃないです。とっても新鮮です。」
かつてそう呼んでくれていたのは、亡くなった母だったと記憶している。懐かしくて気分が和らぐ。
「じゃあ、玲ちゃん。」
「はい、なんでしょう。」