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Sugar Box
第4章 ムーン・トリック
【 ムーン・トリック 】
〝満月の夜〟・・・願えば、どんなことでも叶う、らしい。
「玲くん、帰るの?」
コートを羽織ると幹事の氷さんが声を掛けてくれた。
「疲れたのでお先に失礼します。」
お酒は、苦手だ。二十歳になったしもちろんお呼ばれは、嬉しい。
しかし酒の席では、より一層彼が遠くなる。
本人は、楽しそうだから決して言わない。まぁ、言わなくっても僕がどう思っているかくらい気が付いているのだろうけれど・・・そんな所に腹が立つ。
「黒峰さんに声を掛けないの?」
「ひと言釘刺して来ますね。」
「あぁ・・・了解(腹黒いのも可愛いなぁ)。」
にっこりと笑って答えた後、人を掻き分けて輪の中心で楽しくグラス空けている彼の目の前に立つ。一瞬静かになる。
「黒峰さん。僕は、帰るのであまり飲み過ぎないで下さいね。」