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振り向けば…
第9章 もう少しだけ頼むわ…



結局、上野やらに行き買い物ばかりをする。

それでも悠真とだから楽しかった。

浮気だと責められても悠真と居る方が幸せだった。

その夜は別々のベッドで寝た。

翌日は新幹線で宮城に向かう。


「お前ら、よう来たな。」


駅に迎えに来たお父さんが目を細めて懐かしそうに私と悠真を見る。


「お父さん!」


お父さんにしがみつく。


「牛タン食うか?」

「食べる!」


お父さんと居る時は完全にご機嫌な私。


「いつ帰って来んの?」


牛タンを食べながらお父さんに聞く。


「宮城はもう少しや。けど…、福島がな…。」

「まさか!?福島にも行くつもりか!?」


お父さんを責めるように言うてしもた。


「いや、福島には俺は入られへん。」


お父さんが険しい顔をする。

福島に入るにはメディカルチェックがある。

癌の闘病記録のあるお父さんは職人として働けないのだとお父さんが言う。

その言葉にホッとする。

福島の復興が大切なのはわかる。

だけどお父さんの身体が心配だ。

高校から全く勉強をしなかったお父さんは会社を作ってからお父さんなりに頑張って勉強をして資格を色々と取った。

ユンボやダンプに乗る為の免許は当然ながら、チェーンソーや草刈りの資格。

現場管理の資格。

そしてアスベスト作業主任の資格。

おじいちゃんとお母さんは解体現場で出るアスベストのせいでお父さんの癌が再発するのではないかといつも心配をしてる。

そんなお父さんが福島に行けば、また再発するかもしれないという恐怖が拭えない。


「大丈夫や。宮城が終わったら帰るからな。」


お父さんが寂しく笑う。


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