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振り向けば…
第9章 もう少しだけ頼むわ…
福島も助けたいお父さん…。
お父さん1人じゃ、そんなに変わる訳じゃないけどお父さんが居れば1日でも早く復興する。
でもそれはお父さんの命の問題に直面する。
今回はお父さんも諦めてくれる。
今夜はお父さんが借りている2DKの小さなマンションの部屋に泊まる。
「急に2人が来る言うから慌てて布団を買いに行ったんや。」
何もない部屋に布団が3組…。
テレビと小さなテーブルと冷蔵庫くらいしかない。
毎日、働くだけのお父さんだと感じる。
お父さんと悠真が同じ部屋で寝て私は隣りの部屋で寝る。
襖1枚向こうから2人の会話が聞こえて来る。
「なんでわざわざ来たんや?」
「来夢が寂しがってます。」
「そうか…、悪いな。もう少しだけ頼むわ。」
「わかってます。」
いつだってお父さんは悠真に私を託す。
ごめんなさい…、お父さん…。
泣きながら1人で眠る。
お父さんが帰って来るまでに立ち直らなければならないとつくづく思った。
翌朝、起きたらお父さんが居ない。
「お父さんは?」
「もう仕事に行った。」
朝の5時には出て行ったらしい。
「観光でもして帰るか?」
悠真が聞いて来る。
「スーパーに行きたい。」
「スーパー?」
「お父さんのご飯を作りたいの。」
「わかった。」
近所の人にスーパーを教えて貰って色々と食材を買い占める。
台所に立ち次々と料理をする。
煮魚、ロールキャベツ、カレーに金平ごぼう…。
作ったものをタッパーに詰めては冷凍庫や冷蔵庫に並べて行く。
もっと…。
もっとお父さんの為にご飯を作らなきゃ。
私に出来る事はそれしかない。