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振り向けば…
第9章 もう少しだけ頼むわ…
意地になって料理をする私の手を悠真が止めた。
「飛行機の時間や。」
お父さんのマンションを出て飛行機で大阪に帰る。
「来夢の気持ちはオッチャンに伝わっとる。」
悠真が私を慰めるように言う。
お父さんにだけはいい子で居たい私。
その夜、お父さんからメッセージが来た。
『煮魚、美味かった。』
だから悠真に
『ありがとう。』
とだけメッセージを送った。
夏休みが終わった。
「来夢…。」
大学に行くとそれが当たり前のように先輩が私に寄って来る。
「明日やけど…。」
そう言いかけた先輩に
「明日は行きません。というか先輩とは別れます。だからもう連絡はしないで下さい。」
ちゃんと言えたと思う。
「えっ?なんで?」
先輩が不思議そうに私を見る。
なんでもへったくれもないやろ?
「先輩とは恋愛をしてる意味を感じません。ホテルに行くだけの付き合いなら他の人として下さい。忙しいから失礼します。」
まだ何か言おうとする先輩の前から立ち去った。
終わったと思った。
ホッとしたのも束の間…。
『ごめん、俺の何が悪かった?悪いところは治すからやり直そうよ。』
そんなメッセージが先輩から来る。
当然、スルーする。
なのに教室やら食堂に先輩が現れる。
微妙にストーカーと化してる。
「なぁ…、来夢。話をしよう。」
「話す事はありません。」
「そんな事ないよ。やり直せるって…。」
ゲームをリセットすればいい感覚で言われる。
「来夢…。」
先輩に追いかけられる私を悠真が呼ぶ。
すぐに悠真のところへと逃げると先輩は追って来ないという事だけはわかった。