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振り向けば…
第10章 映画にでも…
正直に言うと眠かった。
皆んなの朝ご飯用にちょっとしたお弁当を作ったからほとんど寝る時間がなかった。
「いいですか?」
拓也さんにもたれて聞いてみる。
「うん…、おやすみ。」
拓也さんが私の髪を撫でてくれた。
お父さんの手を感じさせる拓也さんの手が好きだ。
私が眠ってる間に車は海に着いた。
「腹減った…。」
皆んなが寝てる中をずっと運転した悠真が呟く。
「おにぎりがあるよ。」
バスケットからおにぎりと卵焼きを出すと悠真がご機嫌になる。
代わりに拓也さんが不機嫌になる。
これ以上は悠真に構うのは止めようと思う。
「悠真、日焼け止め塗って…。」
「悠真、ペディキュア手伝って…。」
悠真の彼女は我儘放題…。
悠真は眠そうな顔で彼女の言う事を聞いてる。
「悠真って意外とマメやな?」
玲奈さんがそんな事を言う。
実は年下好きの玲奈さん…。
日下先輩が膨れっ面をする。
「悠真に乗り換えるとか言うなよ。」
「あはは…、それはないわ。悠真って、老けててやたら大人やもん。私の好みは甘えてくれる子供っぽい男やから章(あきら)と付き合ってんねん。」
章とは日下先輩…。
私から見て充分に大人に見える日下先輩を子供っぽいと言い切る玲奈さんを凄いと思う。
「悠真、喉乾いた。」
私の作ったお弁当を食べながら悠真の彼女が騒ぐ。
悠真は黙ってジュースを買いに行く。
「かき氷でも買いに行こう。」
拓也さんが私の手を握って歩き出す。
今日は積極的だと思った。
「来夢の家って門限とかあるのかな?」
「連絡だけ入れれば大丈夫です。」
「来週から忙しくて会えなくなるから…、今日は僕のうちに来て欲しい…。」
拓也さんが私の手を強く握った。