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振り向けば…
第11章 失敗した…
「大丈夫?」
まさかの拓也さんに学校で声を掛けられた。
おじいちゃんの事を日下先輩から聞いたのだろう。
返事に困って俯いた。
拓也さんに縋って泣けば、また元に戻れる?
それはない…。
だって拓也さんの向こうに悠真が見える。
「大丈夫です…。」
作り笑いでそう答える。
「でも…。」
拓也さんが本気で私を心配してくれる。
だけど…。
「帰るぞ。」
悠真がそう言うて私を連れ去る。
拓也さんが悠真を憎むように悠真は拓也さんが私を傷つけたと憎んでる。
恋愛対象ではない私を家族意識だけで守ろうとする悠真にどう対応すべきかがわからない。
家に帰る。
「お父さん…。」
「来夢か…。」
おじいちゃんを失った事からまだ立ち直れていないお父さんに寄り添う。
「最近、悠真は?」
「普通…。」
「相変わらずやな。お前らは…。」
「何が?」
「来夢は内弁慶やからな。」
「内弁慶?」
「学校や家族の中ですらいい子でいようとする。悠真にだけはほんまのお前を見せる。」
「あかんのか?」
「いや…。だけど悠真はそれにビビっとる。」
「悠真が?」
「自分にだけ来夢の態度が違うから嫌われてると思ってるんや。お前を傷つけたら俺やじいさんにも嫌われると思い込んでる。」
うちのお父さんが居なければ悠真は施設に居たかもしれない恐怖。
そんな悠真を私が傷つけてるとか言われると悠真に近寄れなくなる気がする。
「いつか…、お前らにもわかるって…。」
今はまだ複雑に考えなくてええとお父さんが言う。
しばらくして、いつの間にかお父さんはおじいちゃんの死から立ち直ってた。