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振り向けば…
第11章 失敗した…
春になり、私も悠真も3年生になった。
「来夢さん…、ちょっと付き合って貰えますか?」
悠真がニヤニヤとして改まった言い方をする。
「何よ?」
こういう時は警戒心を怠らない。
「いや…、ただの映画なんですけどね…。」
そう言うた悠真が私を連れて行ったのはとんでもない映画だった。
女物のパンティーを顔に被ると正義のヒーローに変身する変態の物語。
「ふざけんな!」
観客のほとんどが男性。
年頃の女の子を連れて来る映画ではない。
「まあまあ…、観てろ。」
悠真がニヤニヤを止めない。
内容は間違いなく笑えた。
ただあまりにも馬鹿らしい映画だった。
なのに…。
「この曲…。」
映画の主題歌に目を見開く。
流暢な英語の歌詞のロックサウンド…。
音楽は好きだ。
ロックが好き…。
だけど日本のロックは微妙だと思う…。
ボーカルメインという日本の主流音楽ではギターやベースが控えめで物足りないと感じるバンドが多い。
アイルランド出身の世界的有名なロックバンドのサウンドはボーカルの歌そのものが楽器の一部なのだと思わせるサウンドの迫力がある。
悠真とはそのバンドのPVやライブ映像なども普段からよく見てる。
歴代彼氏には
「ふーん…。」
で終わらされてまう音楽だけど私はロックサウンドが好きだった。
「やばいやろ?このバンド…。」
勿体付けて悠真が言う。
始めっから私好みのサウンドだと知ってて変態映画に連れて来たのだ。
「誰なん!?どこの国のバンドなん!?」
正体を知りたい。
すぐにでもPVを調べたい欲求に駆られる。