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振り向けば…
第12章 誰の鍵…?
10分もすればドタバタと足音がする。
「なんやねん!スルーすんなや!」
悠真の叫び声。
わざと寝たフリでスルーする。
「何…、怒ってんねん?」
怯えた声がする。
目を開ければ6歳の時の悠真が居る。
私には怯えてる。
情けない顔で私の顔を覗き込む悠真…。
「お前の彼女とかいう女から苦情を受けた。私とライブに行くのが迷惑なんやと。」
見る見るうちに悠真の形相が変わる。
「あのクソ女っ!」
そう叫ぶ悠真が携帯で誰かに電話する。
「お前…、来夢に何を言うてん!?」
電話の向こうから薄らと女の子の声がする。
「やかましい!お前が行きたない言うたんやろ?俺のせいにすんなっ!」
完全にキレた悠真は鬼の形相を崩さない。
必死に何かを悠真に訴える彼女…。
「うぜーよ。2度と連絡してくんな。」
そう言うて電話を切った悠真が私と同じように携帯を放り投げる。
悠真の携帯が鳴り続ける。
「スルーすんなって言わんかった?」
嫌味だけを悠真に言う。
「誤解や…。」
自分の彼女をスルーするのに私には必死に言い訳をする悠真が不思議だと思う。
ぼんやりと悠真を眺めながら悠真の言い訳を聞いてやる。
「ライブはあいつにも行こうと誘ったんや。」
彼女は私と悠真の高校の後輩らしい。
私らが3年の時に1年生だったと悠真が言う。
高校の卒業前に告白をされた。
だけどその時の悠真は付き合いを断った。
大学に入って来た彼女と久しぶりに会い、時々はお昼を一緒に食べたりする程度の仲にはなった。
「あいつが2度目の告白をして来た。」
悠真が寂しい笑顔を私にする。