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振り向けば…
第2章 俺を呼べや…
呆れたお父さんが
「お母さんと来人の様子を見て来るわ。」
と言うて部屋から出て行った。
「なぁ…。」
悠真が真面目な顔で私を見る。
「何よ?」
「誰もお前のお父さんを取らんって…、オッチャンは好きやけど、俺のオトンは1人だけや。」
悠真の言葉の意味がわからなかった。
悠真にはお父さんが居ない。
だから、うちのお父さんが家族旅行に悠真を誘っただけなのに…。
悠真にお父さんを取られたくないと私は悠真に態度が悪くなる。
「悠真…、ゲームオーバーやで…。」
「嘘やん!?この部分までなら俺1人でもクリア出来るのに…、やっぱり来夢が下手なせいや。」
「悠真が下手くそやからやろ?」
悠真と真っ直ぐに向き合うのが怖くてゲームに夢中なフリをする。
2度目のお父さんの入院でお父さんを失う恐怖がますます酷くなった。
だからお父さんが居ない悠真に気を使ってやる余裕なんかあるはずない。
私だってお父さんを失うかもしれないという恐怖がどうしても頭から離れる事がなかった。
その夜はご飯の後も悠真とゲームをやり続ける。
呆れて先に寝たお父さんが朝に目を覚ますと私と悠真は狭いベッドで折り重なるようにして寝てたらしい。
そこから温泉までの移動の車では私と悠真は寄り添うようにずっと眠ってた。
その後は旅館で温泉に入る時に私はお母さん達と女湯で悠真は来人とお父さんと男湯に行く。
お父さんと入りたかった。
悠真がお父さんと入るのが羨ましくて、やっぱり悠真には意地悪な言い方ばかりしてまう。
「夏休みの宿題は終わったんか?」
「後で来夢の写すだけやん。」
「見せたれへん。」
「ケチケチせんと見せたれや。」
悠真とじゃれあってばかりで悠真とばかり話をする。
その夜も私は悠真と寄り添って寝てまう。