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振り向けば…
第13章 悪かったから…
そうやって、悠真と元の鞘。
「来夢…、痩せたか?」
「そうかな?」
悠真が消えてから食が細くなってた。
「ちゃんと飯食えや。大きくなられへんぞ。」
「やかましいわ!」
啀み合いも相変わらず。
私の前に鍋から取ったフグや野菜を置き、お寿司を並べて私を甘やかす悠真も相変わらず。
「どんどん頼め!」
酔って来たお父さんがお寿司の追加を注文する。
「卵焼き…、食べるか?」
「来夢の卵焼きが食いたい。」
悠真の我儘も変わらない。
「今度、作ったる。」
「はぁ?今晩作りに来いや。」
「なんで今日やねん?」
「ライブ映像あるぞ。」
「マジか!?」
280万を使ったというホームシアターを悠真が自慢して来やがる。
「見たいやろ?見たいって素直に言えや。」
「明日、学校やから止めとく…。」
「着替え持って来いや!」
私が行かないと言えばムキになる悠真に笑ろうてまう。
お父さん達のお酒の勢いが止まらないから私と悠真だけがお寿司屋さんを出た。
家で一度、着替えとパジャマを取り、コンビニで卵を買う。
相変わらずの悠真は私の好きなジュースやお菓子を買い漁る。
「ピザとか要るか?」
「要らん。パンは焼けるんか?朝ご飯が必要やろ?」
「俺、カリカリベーコン…。」
まるで同棲を始めた恋人同士。
だけど私と悠真はただの家族。
おばちゃんの為に悠真が用意したという部屋に案内をされた。
空っぽのクローゼットにシングルのベッドが1つ。
「来夢が好きなように使え…。」
悠真がそんな事を言う。
私に必要な物があれば買うてくれるとまで言う悠真を不思議だと思う。
これだと悠真に本当に好きになれる女の子が出来た時はどうするつもり?
今は余計な事は聞きたくない。