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振り向けば…
第13章 悪かったから…
後は悠真の寝室に仕事部屋なんだと悠真が言う。
仕事部屋を覗いてやる。
事務用机に応接セット、Faxにパソコンと確かに仕事部屋っぽい。
ただし机の上やら床には訳のわからん書類が散乱している有り様。
今度、掃除してやる。
と意気込むと書類に埋もれた写真立てを机の上に発見する。
「ぶっ!」
思いっきり吹き出した。
「なんやねん?」
「なんで…、この写真やねん。」
ケタケタと笑う私に悠真がふてくされた顔をする。
「それしかなかったからな。」
そっぽを向く悠真。
写真は小学校の卒業式の時の写真…。
私はここに居たのだと思う。
「卵焼き…、作ったるから、悠真は先に風呂にでも入って来い。」
「頼んだぞ。明日の朝の分もな。」
「朝は朝に作ったる。」
台所で卵焼きを作る。
空っぽの冷蔵庫…。
ゴミ箱には冷凍ピザとかの空箱ばかり…。
今度、来た時はハンバーグの作り置きをしてやらねばとか考える。
「お前も先に風呂入れや。」
卵焼きを摘み食いしながら悠真が言う。
タオルなどは新しいのを私用にとくれる。
シャンプーは何故か我が家と同じもの。
6歳の時から変わらないシャンプー…。
ここにも私と悠真が居ると1人で笑ろてまう。
捨てられた訳じゃない。
ただ、家族に戻っただけ…。
私だって悠真を愛してるのか?と聞かれたら、きっと悩むと思う。
なんとなく優越感から悠真に愛されてるとか思っただけで自分の気持ちは確かじゃない。
この先は悠真と私がどうなるのかはわからないが悠真と2人でゆっくりと未来に進めれば、それでいいとか思った。