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振り向けば…
第13章 悪かったから…
一応、自社ビルの会社…。
50代後半の社長には30代になったばかりの息子が専務として存在する。
だから私を雇った。
息子の代に変わりつつある会社の現場管理を若い世代に交代させる。
まずは私は見習いからの立場…。
会社は事務と営業と工事部に分かれてる。
事務は正社員は僅か2人…。
後はパートのおばさんが3人…。
営業は男性ばかり…。
当然ながら工事部も男性ばかり…。
そこに紅一点として私が配属された。
「新しく配属された施工管理の森本さん…。」
既にこの工事部の主任である施工管理の宮崎さんが私を紹介する。
宮崎さんは丁寧にニコニコと私に仕事の手順を教えてくれる大先輩。
朝の朝礼、安全確認。
午前中は前日の夕方に出された日報の確認。
昼からは現場を回り、工期などに遅れを出さないように監督するのが私の仕事…。
だけど私に対する視線はかなり冷たいと感じる。
私と宮崎さん以外はほとんどの人が高卒で現場に出ている人ばかり…。
営業は大卒ばかりだけど工事部とは仲が悪い。
現場の叩き上げで職人として自分の腕だけでやって来た人達から見れば私は紙切れの上だけで現場を考えるだけの大卒だと思われてる。
しかも女…。
私を認めさせるには実績を積むしか道はない。
ひとまずは宮崎さんの仕事について行くだけの日常が続いた。
はっきり言うて暇だと思う。
宮崎さんと現場に行ってもそこは宮崎さんの現場である以上は私は口出しする事は許されない。
ただ、施主が来てる時などだけ
「うちの新人…。」
と言われ
「へぇ?女の子?」
と言われながら自分の挨拶をするだけの仕事。