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振り向けば…
第14章 休憩して下さい…



ゆっくりと重い口調で悠真が話を遡る。

美保は私達とは違う大学に進んだ。

テニスでの推薦…。

成績がギリギリだった美保が行ける大学はそこしかなかったというべきか?


「美保は同じテニス部の男と付き合い出した。」


それは知ってる。

大学の1年生くらいまでは美保とは連絡を取り合ってた。

私が拓也さんと付き合い出し、美保にも彼氏が出来ると段々と連絡が遠のいたのだ。


「大学の終わりくらいから美保はそいつと同棲をしてたんや。」

「同棲?」

「ああ、但し男は働いてない。」

「働いてないって!?」

「こう言えばわかるか?テニスじゃ就職は出来なかったと…。」


就職浪人…。

氷河期は終わったとは言われてるが現実は違う。

正規雇用を減らし、非正規雇用を増やして就職率を誤魔化しただけの事…。

私や日下先輩は資格を取る事で就職に成功した。

だけど悠真のように資格を持たない人は就職なんか出来てない。

悠真はたまたまバイトで始めたクリエイターの立場が突き抜けたから自分の会社を作り、社長という立場になっただけだ。


「そして美保が妊娠をした。」

「そんな…。」

「俺はとにかく一晩をかけて美保にその男と別れて来いと説得した。」

「だって…、子供の父親やで?」

「美保は俺のところに金を借りに来たんや!その意味がお前かてわかるやろ!」


鬼の形相に悠真が変わる。


「美保が…、お金…。」


私だけがパニックになる。

美保は突然、悠真のお母さんが住むアパートに現れて悠真に連絡をして欲しいとおばちゃんに頼み込んだらしい。


「家賃も滞納してて、俺しか思い浮かばんかったて美保が言うてた。」


悠真が嫌な顔をする。


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