この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第14章 休憩して下さい…
「身重の女に金作って来い言うような男とこの先も美保が居るべきやと来夢は思うか?」
悠真の質問に首を横に振る。
本当に最低な男と最低な状況に美保が居る。
「でも…、子供は…?」
「美保1人なら俺がなんとかしてやれる。」
「悠真!?まさか!?」
悠真がふふふと穏やかな顔で笑う。
「俺は来夢のとこのオッチャンが育ててくれた。その俺が誰かの子供を育てるっていうのは運命ってやつなんかもな。」
アホの悠真が勝手な運命論を語ってる。
ほんまにアホや。
そんなアホはするなと言うてやりたい。
だけど、それは美保に子供を堕ろせと言うてるような気がして言えない言葉。
ひとまず悠真は美保に男とは今すぐに別れて実家に帰れと言うたらしい。
美保が彼氏と暮らしてた部屋は彼氏の名義だから、別れてしまえば家賃などの請求は美保に行かない。
だけど美保は実家に帰る事を拒んだから説得に一晩中かかった。
美保の実家はかなり厳しい家庭で彼氏との同棲などを認めてない。
美保はずっと女友達と暮らしてると実家に嘘を突き続けた。
その実家に妊娠したのだとバレたら困ると美保が怯えてる。
美保が実家に帰ったら…。
きっと悠真は美保の実家に自分が父親だと名乗って迎えに行くつもりなのだと感じる。
これ以上は悠真の話を聞きたくないとばかりにそっぽを向く。
「なぁ…、来夢。大丈夫やって…、俺とお前は家族やろ?今まで通りでなんも変わらんて…。」
今度は私を悠真が説得する。
変わるよ。
私と悠真の間には常に美保と子供が存在するようになるんだよ。
「来夢…。」
悠真がそう言った瞬間に悠真の携帯が鳴り出した。