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振り向けば…
第14章 休憩して下さい…
着信は美保…。
もう夕方だ。
「ああ、わかった。迎えに行ってやるから…。」
悠真が電話の向こうの美保と話す。
今から私との旅行用に借りていたレンタカーで美保を迎えに行き実家に連れて行くと言う。
「また、連絡するから。」
最後まで不機嫌を貫いた私の頭を子供のように撫でて悠真が出てった。
好きでもない女の為に知らない男の子供の父親になろうとする悠真に呆れてた。
あいつのアホは死んでも治らんわ。
悠真とまたしても距離を開けようとする私が居た。
なぁ、悠真…。
あの時、もし私が泣いて止めたら思いとどまってくれたか?
その時の私にはアホな悠真を止める権利はないと思うてた。
連休中は1人だった。
連休の最終日、悠真が私を呼び出した。
「連休の約束を破ったからな。飯くらい好きなもんを食わしたる。」
そう言うた悠真が前から私が行きたいと言うてた伊勢エビ料理の店に連れて行く。
最後の晩餐か?
アホな悠真に対する気持ちは完全に冷めてる。
「美保は?」
「さぁな…。しばらくは実家でよく考えろとだけは言うてある。」
美保の話は悠真が嫌な顔をする。
自分の嫁に嫌な顔をする男とか最低だと思う。
少しずつ、悠真に対する嫌悪感が生まれるから悠真と離れる事になっても哀しみは感じない。
「また…、連絡する。」
私を家まで送り届けた悠真がそう言うて帰ってく。
別に連絡とか要らんし…。
私には仕事がある。
美保もやっぱり就職浪人でバイトだけで生活してたと聞いた。
妊娠をして、そのバイトすら出来なくなった。
私の会社は育児休暇などのシステムが整ってる。
だから私は馬鹿な事はしない。
馬鹿な人間関係に冷めてる私が居た。