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振り向けば…
第14章 休憩して下さい…
それから一週間もして悠真からメッセージが来た。
『会社帰りにこっちに来れないか?』
『無理。』
『なんでや?』
そのままスルーする。
だって仕事が忙しい。
連休明けに宮崎さんから
「森本さんも現場を受け持って貰うからね。」
と言われた。
小さな現場…。
全国フランチャイズされているフライドチキンのお店の内装工事。
但し、それは時間との勝負という仕事…。
夕方にお店が閉まった瞬間から翌日の夜までに仕事を完了させなければならない。
フランチャイズの飲食店ではよくある事…。
お店が汚れて来るとクリーニングをするがクリーニングでも限界が来ると内装工事を1日から2日でやってしまって通常営業に戻る。
定期的な仕事…。
とはいえ、毎回デザインなどの打ち合わせなどは念入りに行う。
1日で仕上げる場合、いちいち施主に確認が出来ないからだ。
今回は壁のクロス、床、一部の照明器具の交換とクリーニングという内装工事。
連日、施主側の設計士と打ち合わせをする。
全国展開である以上はデザインの統一性から使用する床材やクロスは施主からの配給になる。
私はクロスや床の職人の手配をする。
うちの会社の下請けに連絡をして日程の空いた職人さんを派遣して貰う。
電気工事はうちの会社の人で電気専門の人が担当をしてくれる。
施主の設計士からは初対面で
「女性の監督さん?」
と聞かれた。
「施工管理は持ってます。」
身分証の提示をする。
一応、この段階で相手の態度が変わる。
女でも資格を持ってる以上は私が現場監督だという扱いをしなければならない。