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振り向けば…
第14章 休憩して下さい…
悠真も疲れ切った顔をしてる。
悠真の手を握る。
「離れたら…、嫌やで…。」
「うん…、わかっとる。だから明日は美保の話を聞いてやろうな。」
ずっと悠真の手を握って眠る。
この手を離せば恐怖の中で溺れる私がわかるから、絶対に離せない手なのだと思った。
翌日、悠真と2人で美保の実家の近くのファミレスに向かった。
約束通りに悠真は私の手を握ってくれる。
美保が現れた。
悪阻が酷く、幽霊のようにやつれてる美保…。
「悠真から…、聞いた?」
美保が悠真を頼ろうとしてるのを感じる。
「大体は…。」
私がそう言うと
「美保の頼みは美保が自分で言え…。」
と重い口調で悠真が言う。
悠真は美保を睨みつけてる。
まるで毛虫を見るような目付き…。
美保が悠真に怯えてる。
「あんな…、来夢…。子供を堕ろすから…、病院には来夢に付き添って欲しいねん。今更かもしれんけど来夢には話たい事がいっぱいあるねん。」
泣きながら美保が私に懇願する。
悠真は私の頭を撫でる。
手術の費用は悠真が出す。
手術に必要な父親の同意書は悠真が書く。
美保はいっぱい悠真を傷つける。
なのに私に付き添えと美保が甘えて来る。
だからと言うて、美保を突き放す事も出来ない。
病院からは手術は早ければ早いほど母体の傷が浅く済むと言われたらしい。
私のせいで既に一週間を引き伸ばしてる。
「いつ…、手術?」
「来夢の仕事の休みは?」
「今の現場が終われば…。」
私の予定を話す。
今週には現場入りする。
工事完了の翌日には休みがある。
「その日程で予約を取るから…。」
それだけを言うた美保が帰った。