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振り向けば…
第14章 休憩して下さい…
悠真はずっと私の手を握ったままだ。
「久しぶりに遊びに行こうぜ。」
難波の街に出た。
アイスを買い食いしながらの悠真とウィンドウショッピング…。
可愛いワンピースを買うてくれる。
岡山で買えなかったお洒落を悠真が私に与えようとしてる。
「盆休みは絶対に行こな。」
社会人初めての連休はもう二度と来ない。
だけど悠真は私に未来をくれる。
「コロッケ食べたい!」
食いだおれの街で色々なものを食べ歩く。
ゲームセンターに行く。
車のレースゲームで悠真と勝負する。
「ペーパードライバーはオートマチックにしますか?」
悠真に嫌味を言うてやる。
私は小さな軽自動車を仕事用に買うた。
会社の通勤と現場回りに必要だから…。
普段はアパートの駐車場に車を停めてる。
悠真は相変わらずレンタカーしか使わない。
「舐めとるな。俺の運転テクニックを見せてやる。」
いい大人が子供のようにゲームで争う。
結果は私の勝利!
「コーナーで俺の車にぶつけて来たやんけ!」
「それも戦術や。」
だって、これはゲームだから…。
「ぼーそーぞくは怖いわ。」
悠真がボソリとボヤく。
だから、お前にもその血が流れとる!
美保の子供の為に暴走した悠真。
二度とそんな悠真は見たくないと思った。
「仕事…、忙しいんか?」
「うん…、現場を任された。」
僅か2日で終わる現場…。
それでも私の実績として記録される初めての現場。
「頑張れよ。」
「当たり前やん。」
その日は家に帰るまでずっと私の手を握ったままの悠真が居た。