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振り向けば…
第14章 休憩して下さい…
長い打ち合わせが終わり、現場入りをする。
店が閉まった瞬間から、ここは私の現場になる。
「よろしくお願いします…。」
私に頭を下げながらこのお店の店長さんがお店の鍵を預けて来る。
「明日の夜に引渡しますから…。」
店長さんにそう約束をして私は仕事に取り掛かる。
まずは交換をする照明器具を外す。
この作業員はうちの会社の人だから、問題はない。
電気工事技師の資格を持った人…。
「じゃあ、森本さん、頑張ってね。」
すぐにその人はうちの会社へと帰ってまう。
問題は…。
「現場監督さんは?」
30代の男の人が来て、そう言うた。
クロス職人の男の人。
30代の男の人が2人。
床の職人さんは40代の人が2人。
「私です。」
監督を名乗ると
「ああ、新人さんか…。しかも女の子。」
クロス屋さんがクスクスと笑う。
最近ではクロス職人に女の子が居るのは珍しい事じゃない。
「この時期はそういう現場が当たり前…。」
そんな話を職人達がする。
引越しが多い春は忙しい職人達。
マンションのリフォームの仕事があるからだ。
連休明けは暇な職人…。
その代わりに新人監督の現場が増える時期になる。
「女だといけませんか?」
ムキになって聞いてた。
「別に…、女の子は気にしないよ。ただ現場を知らない新人は段取りが悪いから気を付けてくれよ。」
お説教をされた。
「現場を知ってる新人ならいいのですか?」
「はっ?」
「現場なら、多分、私の方が貴方よりも先に経験をしてますから。ユンボがあればこの程度の店は私1人でも一晩で更地に出来ますよ。」
「解体屋の子か?」
「この現場は4人も経験豊富な職人さんが居るのだから余裕ですよね?」
嫌味に嫌味を重ねてた。