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振り向けば…
第14章 休憩して下さい…
クロス職人さん達が嫌な顔をした。
「さっさと現場を終わらせようや。」
のんびりと床屋の職人さん達が作業を始め出す。
まずは引き剥がしの作業。
古いクロスや床材を壁から引き剥がす作業だ。
簡単な作業だけど家庭とは違い油塗れになってる古いクロスや床材はぬるぬるとしてて汚れ作業になってまう。
しかも職人さん達は会社に居た私とは違い、昼間は別の現場で働いて夜は臨時の残業感覚でやって来る人ばかり。
黙々と作業をする。
私は職人さん達が引き剥がしで出たゴミをとん袋に詰めて片付ける。
「お姉ちゃん、ワシらがやるから置いててええで。」
「いえ、手の空いてる人のやる事ですから。」
「なら、外の軽トラの荷台に積んどいてくれ。」
「わかりました。」
お父さんから教わった。
現場では何もしない奴は邪魔なだけだと…。
ゴミ処理しか手伝えないが私はただ見てるだけの監督になるつもりはない。
クロス職人さんの車には廃材になったクロスを…。
床屋さんの車には床材を私は積み込む作業をする。
職人の人工賃だけでは下請けの会社に儲けがない。
僅かな処分費でその儲けを出せるようにするのも私の仕事のうち。
3時間もすればお店の壁や床が剥き出しになる。
「お姉ちゃん、お疲れさん。」
クロス屋さんが私に缶コーヒーをくれた。
「お疲れ様です。」
仕事の終わった職人さん達を労うのが本来の私の仕事なのに職人さん達に私の方が労いの言葉を掛けて貰ってまう。
まだまだ未熟な私…。
「お姉ちゃん、帰れへんのか?」
「クリーニング屋が来ますから。」
「そうかお疲れさん。」
夜の22時…。
第一工程は終了した。