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振り向けば…
第2章 俺を呼べや…



弟の来人はもう小学生。

私だって1年の時は苦労したとか思うから来人には自分の事は自分でしろと言い含める。

来人はなんとなく冷めた子。

黙ったまま宿題をやって、黙ったまま自分の部屋に行ってしまう。

悠真が来て


「来人、ゲームでもせえへんか?」


と聞いても悠真を馬鹿にしたように見る来人は黙って首を横に振ると自分の部屋に引き篭る。

来人はお父さんにあまり懐いていない。

無口なおじいちゃんに似たらしく、ほとんど話をせずに本を読んだりして自分の世界に引き篭る。

私は悠真とばかり話をする。

お母さんは毎日の仕事に疲れているから話をしても意味がない。

お父さんの話は家族中が悲しくなるからタブーのようになった。


「なぁ…、なんかあったら、すぐに俺を呼べや。」


悠真がそんな事を私に言う。


「悠真を呼んでも意味ないやん。」

「それでも1人で居るよりかええやろ?」


穏やかな笑顔を見せた悠真が大人に見えた。

既に父親を亡くしている悠真は私よりも遥かに大人だった。

アホの子やとばかり思うてた。


「喉…、乾いたわ。」

「ジュースでも買いに行こうぜ。」


近所の自販機にジュースを買いに行く。

悠真は毎日オヤツとジュースのお金をお母さんから貰ってるからと私の分も買うてくれる。

悠真が居るから私は普通の生活が出来てる。

来人のようにならずに済んでいる事実にはまだ気付かないままだったけど、寂しくなるたびに悠真を携帯で呼び出しては悠真と話をした覚えがある。

学校では全く話をしない男の子。

だけど家では眠くなるまで2人で話をする男の子。

悠真とそんな時間を過ごしてた。


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