この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第15章 今日だけやで…
「それでも、明日は休みやろ?」
悠真が私に聞いて来る。
「私だけな…。」
現場はデザイナーの思い付きが発生する度にストップがかかり、やり直しで遅れを見せてる。
例えば、棚などは全て壁に備え付け…。
だから大工さんが木の棚を造り、その木にシールというデザイン木目の柄を張るという作業になる。
そのシールを張ると
「もっと、暗い色はない?」
「ダークの木目ですよね?」
これ以上は黒しかない。
「なら、黒でええわ。床の白の大理石が、その方が映えるから…。」
現場を見ないとイメージが湧かないとかいうタイプのデザイナーのお陰で予定変更が生まれる。
当然、これは追加工事だから施主に追加確認をする。
そんな追加追加で遅れ気味の現場は私が休みでも職人さん達は働いてる。
何かあれば現場に駆け付けなければならない休み。
そんな私に気を使う悠真が明日はホームシアターでライブや映画を見ようと言う。
コンビニでお菓子やジュースを山のように買い、ピザをデリバリーして1日怠惰な休みを過ごすのが悠真と私の計画。
出来るだけ私を休ませたいという悠真に少しだけ感動した。
その感動はアホの悠真だからすぐに打ち消される事になる。
「なんや…、これ?」
ライブ映像のブルーレイが入ったBoxから1枚のパッケージを取り出した。
「うわっ!?見んな!」
慌てて悠真が取り上げる。
「もしかして…、AVか…?」
「ちゃうわ…、これはR指定やけど、れっきとした芸術映画や。」
「ふーん…、ほな観せろや。」
「いや、これは俺がその気になるやつやから、あかんやろ?」
「その気って…。」
「シコシコしたくなるやつ?」
「やっぱりAVやんけっ!」
「違うって!」
結局、その夜には悠真が言う芸術映画とやらを観る事になった。