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振り向けば…
第16章 トイレマット…
「雨なら港地域で買い物やな。昼は中華街で夜はやっぱり神戸牛。」
「晴れたら?」
「六甲山をドライブ。」
「車で行くんか?」
「お前のちっちゃい車があるやん。」
「えーっ…、悠真が運転したらシートの位置が変わるやん!」
「来夢の足が短いからやろ?」
「やかましい!」
何故か口喧嘩になるけど笑ってる。
梅雨が近い。
雨の可能性がある。
それでも悠真は遊んでくれる。
お腹が膨れた悠真が久しぶりにゆっくり寝れるからと早めに寝た。
私は出来るだけ静かに洗濯や簡単な掃除をしてやる。
少しでも楽しく遊びたいから、悠真を出来るだけ休ませてやろうと思った。
翌朝は曇り…。
「微妙な天気やな。」
私の車を運転する悠真が言う。
「なぁ、なんで自分の車を買わへんの?女と車が欲しいって言うてたやん。」
今の悠真なら高級車の1台や2台は余裕で買える。
「女も車も維持費ってのがかかるんや。はっきり言うて無駄な経費。来夢に車があるんやから俺が買う必要なんかないし、どうしても車が必要な時はレンタカーの方が安いからな。」
車はともかく女の代わりは私はしてないぞ?
そんな事を考えるとフロントガラスに水滴がポツポツと当たり始めた。
「雨やな。」
そう言うて悠真がカーステレオを鳴らし出す。
私と悠真が好きなバンドのCDを私の車用に悠真が買うてくれたやつ。
「ライブとか…、もう簡単に行かれへんな。」
学生時代は簡単に行けた。
今は仕事があるから難しい。
「連れてったる…。」
「無理せんでええよ。」
「俺が連れて行く言うたら連れてったる。」
悠真が強く言うて来る。
でも…、悠真。
悠真の連れてったるは多すぎて時間が足りないよ?
そう思うても悠真の思いを踏みにじるのは嫌だからと黙って頷くだけだった。