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振り向けば…
第16章 トイレマット…



妹扱い…。

その理由は…。


「俺の方が先に生まれてるからな。」


だった。

悠真の誕生日は6月…。

私は12月…。

半年だけのお兄ちゃん。


「悠真にも靴を買うたるわ。」

「へ?」

「誕生日やろ?」

「ああ、頼むわ。」


同じメーカーの同じデザイン。

その年のモデルがあって、一応はマイナーチェンジをしているらしいけど、この10年近くは悠真が履き続けているという靴。

それは私の初めての悠真へのプレゼントがその靴だったから…。

中学の時の悠真の靴があまりにも汚くてボロボロだったから買うてやった誕生日プレゼントが毎年恒例のプレゼントになってもうた。

私の買い物は悠真がしてくれる。

ご飯も悠真が食べさせてくれる。

だから私は悠真のご飯や靴を買うてやる。

お父さんが私にたまには私から悠真に奢ってやれと言うた意味がわかる気がする。

悠真と対等の立場を保てという意味。


「なんか欲しいものあるか?」

「トイレマット…。」

「却下します…。」


悠真の家のトイレにマットがない。

お尻はビデで温かいが、足元が冷たくて嫌だ。

スリッパを置く事すら嫌がる悠真…。

私だけが自分専用のスリッパを買い、悠真は裸足で家中を歩き回る。


「なんでやねん?ほら、このヒヨコさんのトイレマットは可愛いで?」

「ヒヨコさんを踏みつけてトイレで小便するとか落ち着かん。」


家に小物を置く事を嫌う悠真…。

悠真のマンションもデザイナーズマンションだからリビングにはお洒落な棚があるのにコンポとブルーレイとCDくらいしか置いてない。

掃除するには楽だけど簡素で味気ない部屋は悠真が居ない日などは私が落ち着かない。


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