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振り向けば…
第17章 遠い過去…



前よりも大人びて素敵になった拓也さん。

彼の顔を見るのが怖くて玲奈さんの方ばかりを見るようにする。

スタートは和装の玲奈さん。

本当は角隠しで俯き気味だから玲奈さんの表情はよくわからない。

だけど…。


「綺麗…。」


と呟いてた。

まさに花嫁。

反対に照れくさそうにソワソワとしてる新郎の日下先輩に笑ろうてまう。


「来夢も…、綺麗になったね。」


拓也さんの穏やかな声がする。


「私は…。」


息が詰まる。


「本当に、綺麗になったね。」


もう一度、言われてドキドキとする。


「あはは、無理ですよ。現場で真っ黒に日に焼けてるガテン系女にお世辞は通用しませんよ。」


お笑いで誤魔化そうとする自分が情けないと思う。


「ううん、健康的で素敵になったと思うよ。僕なんか未だに半人前扱いでダメ男だけどね。」

「拓也さんはダメ男なんかじゃない。」

「来夢にそう言われると嬉しいね。」


穏やかな笑顔のまま私との間に出来た溝を埋めようとしてくれる拓也さんの優しさを感じる。

披露宴の司会者からは友人代表として私も短いスピーチを頼まれた。


「日下先輩、玲奈さん…。本日はおめでとうございます。いつも私を妹のように可愛がってくれた日下先輩。いつも私を大切にしてくれた玲奈さん。お2人はずっと私の憧れの先輩であり憧れのカップルでした。その2人がご結婚をされて私の憧れの夫婦になった事が嬉しくて堪りません。日下先輩、玲奈さん、本当におめでとうございます。」


その程度の短い挨拶だったのに…。

玲奈さんは私を見ながら涙ぐんでくれる。

拓也さんも友人代表として挨拶をする。

今や弁護士という拓也さんは先輩達には本当に自慢の友人という感じだった。


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