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振り向けば…
第19章 ここまでだな…
その海斗さんの試合が10月にあると聞き、チケットを買うて貰えないかと聞かれた。
「女の人だと格闘なんかに興味ないよね?」
寂しく笑う海斗さんに
「私はボクシングとか観に行きますよ。良かったら2枚買います。」
と答えてた。
1枚8000円のチケット…。
以外と高いと思う値段だけど、実際は…。
「5000円でええねん。要するに3000円分はファイターの稼ぎみたいなもんで、俺はファイターで稼ごうとは思うてないから…。」
とか海斗さんが言うから私は驚きの連続だ。
「なら、何故、戦うんですか?」
「ぼーそーぞくをやってた理由と同じや。それがカッコええと思うから…。」
チャラ男な海斗さんが笑顔を見せる。
彼は常にカッコいいだけを求める人…。
現場ではふざけたりお笑い芸人みたいに陸斗さんとコントをやってたりするのに、常にカッコいい男を求めたいと言う。
不思議な人…。
それが海斗さんの印象。
弟の陸斗さんはとにかくお兄ちゃんにべったりでお兄ちゃんに憧れてる感じの人。
でも、陸斗さんは大人しい人…。
サバサバとした海斗さんよりも物腰が柔らかく、とてもお兄ちゃんとぼーそーぞくをしてたイメージが湧かない人。
だけど、その時代の海斗さん達の写メを見せて貰ってびっくりした。
特攻服にマスク…。
生きてる化石にゲラゲラと笑う私だから兄弟2人がアタフタする。
「カッコええやろ!?」
「いや、あかんと思います。」
「嘘やろ!?」
そんな会話を休憩時間に繰り返すうちに海斗さん達とは随分と親しくなってた。
仕事が終わり、明日は休みだとばかりに悠真の家へと私は帰る。