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振り向けば…
第20章 久しぶりに…



「拓也さんとは上手くいってんのか?」


ご飯を食べながら、そんな事を悠真が言う。


「上手くも何も食事に行っただけや。」

「デートとかないんか?」

「今週末…、京都に行こう言われた。」

「いきなり実家にご挨拶ってやつか?」


冷やかすように言う悠真を嫌だと思う。


「そんなんちゃうわ。」


泣きそうになる。


「久しぶりに…、映画でも借りに行くか?」


悠真が話題を変えて来る。


「最近、ええ映画がないなぁ。」


観たいと思わせる映画が少ないと思う。

漫画の実写化だとか、古い映画のリメイク物とか続編的なものばかりが目に入る。

文句ばかりの私だから悠真が心配そうに顔を覗き込んで来る。


「また1日が長いんか?」

「有り得んくらいに長いな。」

「拓也さんとのラブラブに夢中になれば、やたらと時間が短くなるぞ。」


なんとなくムカついた。

悠真に拓也さんの事をとやかく言われたくない。


「帰るわ。」

「何…、不機嫌になってんねん。」

「他にやりたい事が出来たらからな。」

「なんやねん?」

「拓也さんとデートする服でも買いに行くわ。」


嫌味のように言うたつもりだった。

悠真が目を見開いた。

私には怯えた顔をする。

なんでやねん?

私の何が怖いねん?

そう言いたくなるほどの怯えた顔をした悠真が俯いてから


「そうやな…、俺が悪かったな…。忙しい来夢に手間掛けさせて…。」


と呟いた。

泣きたい気分になる。

悠真との歯車が微妙にズレていく。

やっぱり、私の恋愛には悠真は邪魔だけの存在なの?


「送るわ…。」


作り笑顔で私を家まで送ると言う悠真。


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