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振り向けば…
第20章 久しぶりに…
結局、何も借りずにレンタルDVD屋を後にする。
2人で俯いたまま歩く道のり…。
我が家までは僅か3分程度の道のりなのに、私の時間を潰す為なのか、悠真はゆっくりと歩いてる。
「なぁ…、悠真。うどんが食べたい。」
なんとなく言うてみたかった我儘…。
「今からか?」
「晩ご飯に…。」
「なら、俺ん家に行くか?夕方んなったら連れてったるから…、それまで昼寝でもしようぜ。」
「うん…。」
「うどんは駅前のやつか?」
「うん…。」
悠真が私の手が握ると今来た道のりを戻り出す。
私に嫌われるのを怖がる悠真…。
私に見捨てられる事に怯えるくせに私を平気で突き放す悠真が理解出来ない。
リビングのソファーで私を抱えるようにして私をあやす悠真が居る。
毛布を被るのは寒がりの私だけ…。
悠真は私の髪を撫でて目を閉じる。
「なぁ…、来夢。クリスマスは…。」
「予定がある。」
「拓也さんとか?」
「うん…。」
「やっぱり、先に予約が必要やったか…。」
悠真がボヤくように言う。
何の予約?
私はお店か?
あの時、悠真が先に予約をしてたら私は拓也さんを断ったのだろうか?
ぼんやりと考えてると悠真の寝息と鼓動だけが聞こえて来る。
悠真と2人だけなのに…。
私の身体が疼くのに…。
今すぐに悠真が抱いてくれれば、きっとクリスマスは悠真と居るはずなのに…。
悠真の温もりの中で苛立ちを抱いて眠った。
夕方には悠真に起こされて、うどんを食べに行く。
「まぁ、暇な時でもええから…、飯だけは作りに来てくれよな。」
既に悠真はこの先の私と拓也さんが付き合うものとして考えてる。
だから悠真の言葉に頷いて、黙ったまま家に帰るしかなかった。