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振り向けば…
第3章 他の奴とは行くな…
正門の前にサッカー部の先輩達が居る。
「高橋!チンタラ走るな。」
そう言われて高橋君がスピードを上げる。
私はダラダラの陸上部だから高橋君に合わせようとか思わない。
適当に部活を済ませたら家に帰って悠真にメールをしてやる。
『高橋君が日曜日は無理だって…。』
『わかった。』
悠真にムカついた。
人をくだらない伝言に利用しといてありがとうくらい言わんのか?
『2度と伝言は預からんからな。』
『はぁ?なんでやねん?』
『やかましい!』
『何を怒ってんねん?』
その先はスルーして返事を返さない。
10分もすればドタバタと激しい足音がして私の部屋に悠真が飛び込んで来る。
「無視すんなや。」
学校じゃ絶対に私に話し掛けないくせに…。
自分勝手な悠真に腹が立つ。
「何が気に入らんねん?」
「高橋君に勝手に私に言え言うからやろ?」
「陸上部とサッカー部は同じ時間に学校の周りを走るって高橋が言うから、なら来夢に声掛けたら俺の事知ってるぞって言うただけやんけ。」
「お陰様で伝書鳩の扱いや。」
「その文句は高橋に言えや。」
女子人気No.1の高橋君に迂闊に文句なんか言える訳がない。
「それよりも前に言うてた映画が始まるぞ。期末テスト終わったら観に行くか?」
久しぶりに悠真が私を誘って来る。
6月から始まる映画…。
だけど6月の終わりに試験がある。
「テスト勉強はしてるんか?」
「ちんぷんかんぷんや。」
悠真が笑う。
クラスが違うから悠真がどの程度の成績なのかがわからない。
「わからんとこは教えたるよ。」
「そん時は頼むわ。」
そう言いながらも悠真は結局、私に聞きに来る事はなかった。