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振り向けば…
第3章 他の奴とは行くな…
夏休み前に悠真と映画に行く。
両親が居ない魔法使いの男の子は親戚から奴隷扱いを受ける暮らしをしてる。
その親戚から離れられる魔法学校だけが楽しみという男の子の前に名付け親が現れる事で小さな幸せを得るという内容の映画…。
帰り道で悠真が晩ご飯を食べて帰ろうと言う。
お好み焼きの店に行く。
お好み焼きを焼きながら父親の居ない悠真が
「俺の名前、オッチャンが付けたんやで。」
と自分の名付け親はうちのお父さんだと告白した。
今更、悠真にお父さんを取られるとか子供っぽい考えで悠真に怒ったりはしない。
その代わりに、だから悠真を息子のように扱うお父さんに納得する。
「お父さんなんかに名前付けられて嬉しいか?」
「オトンの親友やからな。オッチャンが居たから俺は助かったんや。」
悠真が切ない顔をした。
お父さんは自分の会社を起こした。
龍平おじさんは他所の解体業者に就職した。
それが奈良だった。
その解体の現場の事故で龍平おじさんが亡くなった。
悠真のお母さんは働く所を探したけど悠真が小さくてパートやアルバイトしか出来ない。
とうとう悠真を施設に入れるかもしれないという状況にうちのお父さんが
「なんで、もっと早く俺に相談せんかったんや!」
と怒鳴り散らしたらしい。
「オトンとそっくりな怒り方する人に始めはびっくりしたわ。」
悠真がそう言うて笑う。
だから悠真は私の傍に居る。
うちのお父さんに頼まれたから…。
もしも、悠真と違う出会い方をしていたら、悠真は私の傍に居てくれたのだろか?
そんな事を少しだけ考えた中学生活だった。