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振り向けば…
第3章 他の奴とは行くな…
何事もなく中学生活は順調に進む。
たまに悠真と映画に行く程度…。
テストテストで遊んでばかりはいられない。
トップクラスの高校は無理だけど上位クラスの高校には行きたいからと派手にカラオケだのアミューズメントパークだのに遊びに行きたがる友達とは付き合いをしない。
地味に勉強をする私は大人しいタイプの扱いを受ける学校生活…。
それでも2年生になると成績上位の私はそれなりに1目を置かれる立場になる。
授業でちょっと難しい問題が出ると、その昼休みには私の周りに女子が集まって来る。
「ごめん、森本さん、教えてくれる?」
人に教える事は自分の為にもなるからと断る事なく私は丁寧に教えてあげる。
「森本さん、学校の先生になれるよね。」
そんな事まで言われるようになるけれど…。
「将来は建築関係に進む予定。」
と答える。
「もう自分の将来を決めてるんだ…、凄いねぇ。」
そうやって感心されても嬉しいとか感じない。
お父さんが居なくなる不安から決めた自分の将来。
私がしっかりしなければ…。
アホの悠真なんか頼りにならない。
だから真面目に勉強をして、部活では黙々と走るだけの地味な私…。
「なぁ…、森本さん。」
走っていると久しぶりに声を掛けて来る男の子。
「高橋君?」
「悠真から聞いたけど、森本さんって映画とか行くんやろ?」
「うん、たまにね。」
「今度の日曜日に行かへんか?」
突然の誘いだった。
チケットがあるらしい。
だけど内容がイタリアの天才画家の絵に込められた暗号を解くというミステリーの映画。
「肉屋も航大もアニメしか行かへん言うねん。」
高橋君が口を尖らせて私に言う。