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振り向けば…
第23章 雨や…
純粋に困ってる人達が居る。
純粋に助けたいお父さんが居る。
だけど、それを邪魔する存在があるのだと初めて知る事になる。
「悠真のとこに飯を作りに行ったるんやろ?」
お父さんが聞いて来る。
「うん…。」
「あいつは大食漢やからな。来夢がしっかり助けたれや。」
そない言うて寂しく笑うお父さんが悲しかった。
午後から悠真の家に行き、悠真のご飯を作ってやる。
テレビではまた熊本への募金を言うてる。
このお金は本当に困ってる人達のとこに届くのか?
そんな迷いを感じる。
悠真が私の頭を軽く叩く。
「お前は助ける側に常に居たらええねん。それを邪魔する奴はいつかは居なくなる。募金かていつかは困っとる人達に届く。そう思わなやってられんぞ。」
焦る私は悠真に説教をされてた。
この問題が後々にも私と悠真の間で揉める原因になるとか、この時の私にはわかってない。
ただ以前よりも、困った人を見たら助けようという意思が強くなってた。
梅雨が近づいて来る。
悠真の誕生日が近いと思う。
いつもの靴を買うて悠真の家に行く。
「パイパンでスクール水着は?」
そない言うた悠真を思いっきり引張叩いてた。
「来夢さん…、暴力は嫌です。」
「やかましい!」
「なんであかんねん?」
「そういう事は自分の彼女に言え。」
「彼女って…、居らんし…。」
「知るか!」
せっかくの誕生日に私はキレッキレの状況。
「なら、普通の水着だけ見せて下さい。」
悠真がそんな事を言い出した。
このマンションには温水プールが完備されてる。
ただし水深165cm以上はあったはず。