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振り向けば…
第23章 雨や…



夕食を作る。

手馴れた段取り…。

悠真が私の周りをウロチョロする。


「邪魔!」


蹴飛ばしてやる。


「暇やねん。」

「座って待っとけ。」


ハンバーグだというだけで悠真は子供みたいにワクワクとした顔をする。

悠真はデミグラのソースが嫌いだからケチャップでソースを作る。


「来夢…。卵焼きは…。」

「2つ作るから…。」

「朝の分も…。」

「それはご飯の後で作って帰ったる。」

「あざーすっ!」


完全なお子ちゃまモードの悠真に笑うてまう。

私はちゃんと悠真が望む誕生日をしてあげれたのだろうか?


「雨や…。」


ご飯を食べて後片付けをしてから私が悠真の朝ご飯用の卵焼きを焼き出した頃に悠真がそう言うた。


「夕焼けやったのに?」

「梅雨やからな。」


確かに綺麗な夕焼けとは言えない夕焼けだった。

雨の音に沈黙するとなんとなく落ち着かない。


「なぁ…、悠真。」

「んー?」

「早川君…、私と悠真の事…、知ってたんか?」

「ああ、俺が言うたからな。」


初めて聞く話だった。

始めは高橋君が自分の好きな女の子の話を持ち出したらしい。


『森本さんって可愛いよな。』


そう言うた高橋君に


『小さくて大人しくて良いよな。』


と肉屋が同意する。

それに対して航大が


『森本って意外と怖いんやぞ。』


と私が悠真を蹴飛ばす話をしたのだ。


『悠真と森本さんって仲ええんか?』


そう聞かれた悠真の答えは…。


『家族やねん。俺のオトンが早くに死んだから来夢のオトンが俺の父親代わりをしてくれたんや。だから来夢を口説いてもええけど、泣かしたらただじゃ済まさんからな。』


という答えだったらしい。


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