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振り向けば…
第3章 他の奴とは行くな…
だけど後は全部が自腹…。
ジュースもポップコーンも自分で買う。
悠真なら全部買うてくれる。
映画のチケットを奢って貰ろてるから文句は言えないけど悠真とは違うのだと思う。
映画の内容は面白かった。
帰りに高橋君が何故かその映画のパンフレットを買うてくれる。
別に要らない映画のパンフレット。
「記念になるから…。」
高橋君が照れたように笑った。
「今日はありがとう…。」
一応、お礼は言う。
「また誘ってええかな?」
「別に構わんよ。」
「なら次はアミューズメントパークに行こうぜ。」
大阪には世界規模の映画をテーマとしたアミューズメントパークがある。
一度だけ、お父さんと悠真と行った事がある。
高橋君が家の前まで送ってくれて帰って行った。
疲れた…。
ただ映画を観ただけなのに激しい疲れに襲われて、その日はすぐに寝た。
翌日の昼休み…。
「森本さん…、ちょっといい?」
私は5人の女子に囲まれた。
高橋君のファンクラブ…。
いや、親衛隊って言うの?
サッカー部の試合には必ず行ってますという女の子達が私に怖い顔をして囲んで来る。
「高橋君と映画に行ったって本当なの?」
通称『横綱』という有り難くないあだ名が付いた木村さんが私を壁ドンして尋問する。
背丈が150cmしかない私は木村さん達を見上げるようにして答える羽目になる。
「チケットがあるからって誘われた。」
「なんで断らなかったの?」
「へっ?」
「高橋君と付き合ってるの?」
「それはないよ…。」
「なら、なんで行ったの?」
「普通にチケットがあるからって誘われたから?」
微妙に親衛隊の人達とは会話が噛み合わない。