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振り向けば…
第3章 他の奴とは行くな…
だって映画を観に行っただけで付き合ってるとかなら私と悠真はどんだけの関係なんだと思うてまう。
「高橋君が好きなの?」
「それはないよ。」
寧ろ、こんな目に合うなら高橋君とは2度と遊びに行きたくないとか考える。
「悪い。ちょっとええか?」
小さな私の首根っこを誰かが掴んで引っ張った。
「今田君…。」
横綱…、いや、木村さんが目を見開く。
「こいつに用事があるんや。もうええか?」
悠真が木村さんに確認する。
木村さん達は悠真には逆らわない。
高橋君と悠真が仲が良いから逆らって高橋君に悪く言われたくない女心を見せている。
しおらしくなった木村さん達を残して悠真が私をずるずると引きずって廊下を歩き出す。
「ちょっと、歩き難いから…。」
私の制服のブレザーの襟を掴んだまま歩く悠真に文句を言う。
猫じゃあるまいし、こんな連行の仕方とかするか?
そうは思うても悠真はそのまま渡り廊下に出て隣りの校舎に向かって行く。
口をへの字にする悠真が不機嫌なのだとは感じる。
そのまま、美術室や家庭科室などがある廊下で悠真が立ち止まる。
この校舎には人が来ないから内緒話に使う子が多いという廊下…。
今は私と悠真の2人きり…。
「奈良はどうやった?」
ムスッとした表情のままの悠真に聞いてみる。
「高橋と映画に行ったって?」
「うん…。チケットがある言われたから…。」
「しかも俺が観たかった映画やろ?」
「なんで知ってんの?」
「肉屋が映画のパンフレットを持った2人が仲良く商店街を歩いてるのを見たからな。」
つまり肉屋が学校中に言いふらしたのだと理解した。