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振り向けば…
第3章 他の奴とは行くな…



それでも悠真がこれほど不機嫌な理由がわからない。


「俺も観たかったのに…。」


映画が観れなかったから不機嫌なのか?


「だって、悠真は奈良に行くって言うたやん。」

「だから今週に行けばええやろ?」

「今週からサッカー部は試合やから無理やん。」

「だから…、別にわざわざ高橋と行かんでも、俺と行けばええやんけ?」

「だから…、チケットがあるって高橋君が言うから行っただけやん。なんで悠真が怒るんよ。」

「1人で行ってもつまらんからや。2度と他の奴とは映画に行くなや。」

「なんでよ?」

「俺が観たい時に観られへんからや。」


単なる我儘かよ。


「なら映画以外なら行ってもええんか?」

「どこ行くねん?」

「まぁ、カラオケとかアミューズメントとか色々やん。」

「高橋の事が好きなんか?」

「別に好きじゃないよ。」

「高橋は来夢が好きらしいぞ。」

「へっ?」


マヌケな顔をしたと思う。

くしゃくしゃと悠真が私の頭を撫でて来る。


「カラオケとかアミューズメントとか行きたいなら俺が連れてってやるから、高橋には変な気を持たせたんなや。来夢は鈍いからな。」

「誰が鈍いねん?」

「お前が鈍い。因みに肉屋もお前が好きらしいぞ。」

「へっ?」


ますます混乱してまう。


「わかったら、迂闊に誘われて行くなや。」


私の保護者のような言い方を悠真がする。


「悠真ならええんか?」


男の子には下心があると言う悠真には無いのかと確認をしてやる。

悠真が頭をボリボリと掻く。


「だって…、俺…、お前には何にも感じねぇもん。」


なんかハンマーで殴られた気がした。


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