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振り向けば…
第26章 欲しいと思うなら…
「今夜は?」
またホテルで夜は外食だと思うてた。
「今夜は指宿の有名な旅館や。」
悠真がニヤリとする。
「指宿?」
「鹿児島市を抜けて鹿児島の端まで走る事になるけど、日本一と言われる旅館なんや。」
「日本一!?」
「昔の総理大臣とか泊まったらしいぞ。」
総理大臣様が…。
完全な高級旅館やんか。
「1泊でなんぼするねん!?」
「それが意外と安くてな。去年の岡山とあんまり変わらへんねん。」
「マジか!?」
リーズナブルな高級旅館。
イメージがわかないまま悠真と移動する。
「急ぐ必要がある。」
「なんで?」
「砂風呂を予約してあるから。」
「砂風呂ってあるんや。」
「その風呂ならお前と一緒に入れるから…。」
悠真がニヤニヤとしやがる。
このスケベ!
そう言いたくなる。
実際は私の想像とは違うお風呂だった。
旅館にチェックインがまだ出来ないからと旅館側に荷物を預けてお風呂へと移動をする。
悠真とも1度別れて女性用の脱衣場に入る。
使い放題の浴衣が置かれた脱衣場で浴衣に着替えてから再び悠真と合流する。
「浴衣を着てお風呂?」
「浴衣のまま砂に埋められるんや。」
なるほど…。
男湯も女湯もないのだ。
海が見える浜辺のような場所に人が寝転がる穴があるから、そこに悠真と並んで寝る。
「かけますよ。」
スコップを持ったおじさんが順番に砂をかけて来る。
意外と砂が重い…。
それが第一印象。
「無理はしないで下さいね。」
砂かけおじさんがそんな事を言う。
無理ってなんだ?
そう考えてる間に身体中がポカポカとして来る。