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振り向けば…
第26章 欲しいと思うなら…
「伊勢海老の姿焼きですが、お味は三種類から選んで頂きます。」
私と悠真に飲み物を運んで来た仲居さんが注文を聞いて来る。
お品書きの中盤に伊勢海老の姿焼きとある。
1つは海老チリ風味、もう1つは残酷焼きの醤油味、3つ目はチーズを乗せたイタリアンの味。
「俺、海老チリ。」
「なら、チーズにする。」
悠真と別々にする癖がついてる。
半分づつするのが当たり前だから…。
「なぁ、このお品書き…、やばくない?」
悠真に聞いてみる。
黒毛和牛のステーキにアワビとサザエの焼き物などかなり贅沢な料理ばかりが並ぶお品書き…。
「部屋のグレードで料理が変わるみたいやな。」
「やっぱりあの部屋って高いんか!?」
「普通や…。一番安い部屋よりも1万だけ高いってだけでアホみたいな値段にはなっとらん。」
「ほんまに?」
「ケチって嫌な思いするくらいなら、たかが1万プラスしてグレード上げた方が得やろ?」
「それは言えてる。」
食事をしながら聞いた話だと、この旅館にはイタリアンレストランもあり、和食か洋食かまでもが選べるのだと悠真が言う。
「なら、イタリアンもありだったかも。」
「洋食のコース料理だと俺の腹が満たされない。」
「悠真は食べ過ぎや。」
「食べへんから来夢は小さいままやねん。」
「やかましい!」
いつもと変わらない口喧嘩…。
ただ違うのは…。
「しっかりと食うたか?」
そない言うて穏やかな笑顔を私に向ける悠真に私がドキドキとかする事…。
「充分食べた。食べ過ぎたくらい。」
「なら庭を散歩して風呂に行こや。」
今夜の悠真は積極的に感じる。