この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第27章 重く低い声…
「多分、お取り寄せは出来ると思います。」
「そうか…、なら良かった。」
宮崎さんがホッとした表情を浮かべる。
「何があったんです?」
「いやな…。」
事の起こりは社長さんがお菓子を半分くらい食べた事から始まった。
「これ、美味いわ。」
そう言うて社長さんが1人の事務員さんに1つだけお菓子を渡してみると、あっという間に事務員さんが
「お土産なのに私らの分はないんですか?」
と言い出した。
慌てた社長さんがあちこちに聞いて回り、工事部にたくさんあると聞いて工事部にやって来た。
ギリギリ事務員さんの人数分は社長さんが確保したものの事務員のおばさん達は
「若い女の子って気が利かないのよ。」
「事務だからって馬鹿にしてんのよ。所詮は工事部の子だからね。」
と私を非難する声を上げ始めた。
「だから、社長がお取り寄せをして事務員が納得するまで食べさせりゃいいだろうと言うとるんや。」
再び宮崎さんが苦笑いをする。
そもそも、この会社で律儀にお土産を持って来るのは私と工事部の数人だけだ。
事務員さんからのお土産なんか見た事がない。
だけど創業以来からの事務員さんばかりだからと社長さんはいつも事務員さんには何かと買い与えてる。
例えば、お盆休み前…。
現場の打ち合わせに出た私はその打ち合わせ場所の近くに私の好きなアイスキャンデーを売るお店があるからと打ち合わせの帰りにそのアイスキャンデーを10本ほど買うて会社の冷凍庫に入れてた。
再び現場に行き夕方に戻ると私のアイスキャンデーが無くなってる。
フレッシュフルーツの果肉がそのまま入ったちょっとしたお値段のアイスキャンデー。